企業がPRで、YouTubeなどを使った動画ライブ配信を行うことは有効です。リアルタイムで訴求でき、チャットも使えば顧客と強くつながることができます。ただ効果を上げるには相応のスキルが必要になるので、この記事でライブ配信のやり方を徹底解説します。
TABLE OF CONTENTS
- 1 【動画解説】Youtubeなどライブ配信のやり方、方法を配信業者が徹底解説!初心者でもできる!
【動画解説】Youtubeなどライブ配信のやり方、方法を配信業者が徹底解説!初心者でもできる!
企業のPR担当者や広告担当者、イベント担当者は、「うちの会社でもYouTubeライブ配信をやりたい」と思っていませんか。ライブ配信は訴求力が強いだけでなく、顧客や見込み客、消費者、ユーザーと強く結びつくことができるため、企業のコミュニケーション・ツール、マーケティング・ツールとして注目されています。
ライブ配信は、まだ「とても簡単」とまではなっていませんが、しかしすでに「企業が手軽に使えるツール」にはなりました。そこでこの記事ではYouTubeなどを活用したライブ配信のやり方について、基礎から応用まですべて解説します。この記事を読んでいただければ、ライブ配信を実施するために何が必要で、どのように進めて、何に注意しなければならないのかがわかります。そして、ライブ配信を自社で行うときと当社のようなプロに任せるときのメリットとデメリットについてもみていきます。
まずは解説動画でYouTubeライブ配信方法をチェック
YouTubeなどライブ配信に必要な機材をすべて紹介
もし企業のPR担当者が、自社でYouTubeなどのライブ配信を行いたいと考えたら、機材をそろえなければなりません。
以下に紹介するものを手配してください。
-
パソコン(PC)
ライブ配信を行うには、パソコンが必要です。デスクトップでもいいのですが、撮影現場と編集現場が異なる場合はノートパソコンのほうがおすすめです。
スマホを使ったライブ配信も可能ですが、こちらは簡易バージョンになるので、後段の「スマホで簡単にやる方法もある」の章であらためてポイントごとにわけて紹介します。
企業などがライブ配信を行う場合は、確かな効果が得られる見栄えのよいコンテンツにする必要があります。そのためには、普段の業務用のパソコンとは別に、ライブ配信用のパソコンを1台以上用意しておいたほうがよいでしょう。
-
インターネット環境
パソコンと同じくらい重要かつ基礎となるのがインターネット環境です。こちらも後段の「ライブ配信を行うときに必要になる『2つの環境』」の章で解説します。
-
カメラ
ライブ配信は大きく「撮って」「インターネットで配信する」という2つの作業が必要になります。動画を撮影するにはカメラが必要になります。
もちろんPCの内蔵カメラを使用してではなくライブ配信をこなう事を前提にお話しします。
企業が「しっかりしたライブ配信」を行うのであれば、カメラにはこだわりたいものです。
おすすめしたいのは、デジタル一眼レフカメラ、ミラーレスカメラ、ウェブカメラ、またはビデオカメラです。
デジタル一眼レフカメラ、またはミラーレスカメラには高画質でレンズの選択肢が豊富なものを選んでください。現行販売されているハイスペックのものであれば、間違いなくカメラ本体にビデオ出力がありパソコンに接続することができます。もしくは外部のビデオキャプチャカードを使ってカメラの映像をコンピュータに送ることもできます。
ウェブカメラは直接パソコンに接続して使えるカメラです。画像の品質は少し劣るかもしれませんが、YouTubeのライブ配信であれば十分でしょう。ビデオカメラはビデオ専用のカメラでハンディカムと呼ばれるものです。手軽に持ち運べるサイズであり、操作が簡単です。凝った映像を撮りたいときは必要になります。
-
マイク
意外に重要なのがマイクです。カメラだけでも出演者の声や周囲の音を拾うことができるので、ライブ配信を始めた当初は「マイクがなくてもなんとかなる」と思えるのですが、数を重ねるにつれて「マイクがあったほうがよい」と感じるようになるはずです。
なぜならマイクがあると必要な音を確実に集めることができ、不要な音をかなり確実にシャットアウトするからです。
ライブ配信ではつい画像の品質を高めたくなるのですが、実はクリアな音もライブ配信のクオリティを格段に上げます。
おすすめは、USB接続のマイクやヘッドセットが一般的です。ライブパフォーマンスや音楽演奏を行う場合は、専用のマイクやオーディオインターフェースが必要になります。
ワイヤレスのマイクを使用しカメラに引き込んでもよいでしょう。
-
オーディオインターフェース
ライブで音楽演奏をしたり声のプロフェッショナルを招いたりするときは、オーディオインターフェースがあったほうがよいでしょう。これにより外部マイクや楽器に接続して高品質な音声を取り込むことができます。(本当に音質にこだわる方におすすめです)
-
ライブエンコーディング・ソフトウェア
YouTubeのライブ配信を行うためには、ライブエンコーディング・ソフトウェアやエンコーダが必要です。一部のソフトウェアは無料で利用できます。代表的なエンコーダには、OBS StudioやXSplitがあります。
-
配信用ソフトウェア
ライブ配信を行うためには、YouTube Liveやストリーミング・プラットフォームにアクセスできる配信用ソフトウェアが必要です。これにより、ライブ配信の設定やストリームの管理が行えます。
(スイッチャーにつばぎ、スイッチャーからアウトされる映像をPCにとりこみ配信することもできます)
-
照明機材
照明機材も、ライブ配信を何回か行うと欲しくなる機材です。明るく鮮明な映像を提供するためには適切な照明(あかり)が必要です。自然光を利用する場合でも照明があると、より光をコントロールしやすくなります。
-
三脚
三脚は、カメラを安定して配置するために使います。三脚が1台あるだけでスタッフを1人減らせる場合があります。三脚を購入するコストをかけることで人件費を抑えることができます。三脚は高さと確度が調節できるものを選んでください。
-
グリーンスクリーン
グリーンスクリーンは単色(原則、緑)の背景で、編集で別の画像や動画を合成するときに役立ちます。グリーンスクリーンを背景に置くことで、ライブ配信中に背景を変えたり、クロマキー合成を実施したりできます。ライブ配信では上級者のやり方ですが、スイッチャーにクロマキー機能があり背景を即座に合成することも可能になります。
-
スイッチャー
スイッチャーは、複数の入力ソースを切り替えたり、画面を切り替えたり、エフェクトを加えたりするための機材です。ライブ配信中にシーンの切り替えや画面分割を行いたい場合にはスイッチャーが不可欠です。ライブ配信では、カメラから入力される映像とパソコンをつないで使います。小規模なライブ配信ではソフトウェア・ベースのスイッチャーを使用することもあります。一方、より高度な機能やプロフェッショナルな制御を必要とする場合には、ハードウェア・ベースのスイッチャーが適しています。スイッチャーを選ぶ際には、必要な入力ポートの数や解像度、エフェクト機能、操作性などを考慮しましょう。スイッチャーを活用することでライブ配信の「プロ感」が格段に向上します。ライブ配信をより効果的に、かつクオリティの高いものにするのに役立つツールです。複数カメラの映像がスイッチングするだけでおおきく見栄えはかわります。
-
バックアップ機材
万が一のトラブルに備えて、バックアップ機材を用意することをおすすめします。予備のカメラやマイク、ケーブルなどがあれば、問題が発生した場合でもスムーズに対処できます。
YouTubeなどライブ配信のやり方、カメラの設置方法、注意点
必要な機材がそろったらすぐにライブ配信を始めることができます。品質の高いライブ配信を実現するにはトライ&エラーが必要なので、まずは「やってみる」ことをおすすめします。
やり方、方法をステップごとに解説
ここではYouTubeを使ったライブ配信の手順を紹介します。
- ステップ1:YouTubeアカウント=Googleアカウントを取得する
YouTubeライブ配信を行うにはGoogleアカウントを作成する必要があります。既にGoogleアカウントを持っている場合は、それを使用できます。
- ステップ2:ライブ配信機能を有効化する
YouTubeのサイトにアクセスして、右上のアカウント・アイコンをクリックします。ドロップダウンメニューから「YouTube Studio」を選択します。するとYouTube Studioのダッシュボードが表示されます。
- ステップ3:ライブ配信を作成する
ダッシュボードの左側のメニューから「ライブ配信」を選択します。次に、右上の「ライブ配信を作成」ボタンをクリックします。
- ステップ4:ライブ配信の設定
ライブ配信の設定画面が表示されるので、以下の操作を行ってください。
・タイトル:ライブ配信のタイトルを入力します。わかりやすい説明的なタイトルにするとよいでしょう。
・プライバシー設定:配信を公開するか、限定公開にするか、非公開にするかを選択します。
・カテゴリー:配信の内容に適したカテゴリーを選択します。
- ステップ5:ストリーミング・ソフトウェアの設定
ライブ配信を行うにはストリーミング・ソフトウェアが必要です。よく使われるのは「OBS Studio」や「Streamlabs OBS」です。これらのソフトウェアをインストールします。
- ステップ6:ストリーミング・ソフトウェアの設定
ストリーミング・ソフトウェアを起動して設定します。以下は基本的な設定です。
・ソースの追加:映像と音声のソースを追加します。カメラとマイクの設定を行います。
・エンコーダ設定:エンコーダの設定を行い、ストリーミングのビットレートや画質を調整します。
・YouTubeとの接続:YouTubeに接続するためのストリームキーを取得します。YouTube Studioのライブ配信設定画面に表示されます。
- ステップ7:ストリーミングの開始
ストリーミング・ソフトウェアの設定が完了したらライブ配信を開始します。
ストリーミング・ソフトウェアの画面で、「ストリームを開始」または「ライブ配信を開始」などのボタンをクリックします。
YouTubeのライブ配信設定画面で表示されているストリームキーをコピーします。ストリーミング・ソフトウェアの設定画面に戻り、適切な場所にストリームキーを貼りつけます。
ストリーミング・ソフトウェアの画面で、「配信を開始」または「ストリームを開始」などのボタンをクリックします。
ストリーミング・ソフトウェアがYouTubeに映像と音声を送信し、ライブ配信が開始されます。YouTubeのライブ配信画面には、視聴者からのコメントやライブチャットが表示されます。チャットは視聴者から質問を受け付けるだけでなく、自社のYouTubeチャンネルへの登録を呼びかけると登録者増を狙えます。
- ステップ8:ライブ配信中に行うこと
ライブ配信中は必要に応じてストリーミング・ソフトウェアの設定を調整することができます。画面の切り替えやエフェクトの追加、音声のミキシングなど、さまざまな機能を活用して配信をカスタマイズできます。
- ステップ9:ライブ配信を終わらせる
ライブ配信を終了する場合は、ストリーミング・ソフトウェアの画面で「配信を停止」または「ストリームを停止」などのボタンをクリックします。9つもステップがありますが、それぞれで使い方の練度を高めておいてください。
カメラなどの機材の設置方法
ライブ配信ではカメラやマイクなどの機材の設置場所にもこだわってください。ここでは基本的な設置方法を紹介します。
- カメラの設置
カメラを三脚やカメラスタンドに取りつけます。調整可能な三脚があれば、適切な高さやアングルに調整しましょう。
カメラの位置を決める際には、自分の映像が中心に映るように注意し、背景やフレーミングも考慮します。
カメラとパソコンを接続する場合、適切なケーブル(HDMIやUSB)を使用して接続します。
- マイクの設置
マイクをマイクスタンドに取りつけるか、デスク上に設置します。マイクアームやブームポールがあると便利です。
マイクと話者の口の距離は10〜30cmが目安になります。音声の明瞭さと周囲のノイズを最小限に抑えるように設置してください。
マイクとパソコンを接続する場合、適切なケーブルやオーディオインターフェースを使用して接続します。
- 照明の設置
明るく均一な照明を確保するために、照明器具やソフトボックス、LEDパネルなどを使用します。
照明を適切な位置に配置し、出演者の顔や商品、背景を均一に照らします。明るすぎず暗すぎず、バランスの取れた照明が望ましいです。
- パソコンの設置
ライブ配信ソフトウェアをインストールしたパソコンを安定した場所に置き、スクリーンの位置や角度を調整します。
カメラやマイクなどの外部機器をパソコンに接続し、適切なドライバや設定を行います。
- スイッチャー
複数のカメラやソースを切り替えるためにスイッチャーを使用する場合、スイッチャーを適切な位置に設置します。カメラや他の入力ソースをスイッチャーに接続します。
スイッチャーの操作パネルやコントローラーを設置する場所を選びます。スタジオを使うのであれば、コントロールルームなどアクセスしやすい場所に置きます。
ライブ配信のリスクと注意点
YouTubeライブ配信にはリスクがあり、注意していただきたいことがあります。
コンテンツは適切でしょうか。配信するコンテンツが法律やYouTubeのコミュニティガイドラインに準拠していることを確認してください。ライブ配信はライブなので事後に修正、編集できません。
不適切なコンテンツや著作権侵害を行うと、アカウントの停止や法的な問題につながる可能性があります。
プライバシーとセキュリティに配慮してください。ライブ配信中は、出演者だけでなく画像に入るすべての人のプライバシーを保護する必要があります。個人情報や住所、プライベートな場所を公開しないようにしましょう。ストリームキーは機密情報です。第三者に渡さないようにし、セキュリティを確保してください。
ライブ配信中は視聴者からのコメントやチャットが表示されます。不適切なコメントに対処するためにチェック担当者を置くことをおすすめします。
高品質なライブ配信には安定したインターネット(オンライン)環境が欠かせません。アップロード・スピードは十分か、ネットワークは混雑していないか、といった点をチェックします。
ライブ配信中に技術的な問題が発生することがあります。起こりうるのは、映像や音声の遅延、画質の低下、ストリーミングの中断などです。適切なハードウェアやソフトウェアを選択したり、テスト配信を行ったりすることでトラブルを予防できます。
ライブ配信できる媒体を紹介
YouTubeは「ライブ配信といえば」的な存在で、これを使えばまず間違いないでしょう。そこで、そもそもYouTubeとはどのようなものなのか、その概要を解説します。またライブ配信ができる媒体はほかにもあるので、それらの概要もあわせて紹介します。
YouTube
YouTubeはGoogleグループの一員です。YouTubeのライブ配信機能とは、YouTubeプラットフォーム上でリアルタイムのストリーミング映像を視聴者に提供する機能のことです。YouTubeのライブ配信は、ユーザーが自分のコンピュータやモバイル・デバイスからライブ映像をYouTubeのサーバーにアップロードするストリーミング技術を使用することで成立します。ライブ映像はエンコード(信号やデータを適切なものに変換すること)され、YouTubeのサーバーに送信されます。YouTubeのサーバーは再エンコードを行い、さまざまな品質と解像度のストリーム(データの送受信を連続的に行うこと)をつくっていきます。視聴者はYouTubeのウェブサイトやモバイルアプリを通じて、ライブ配信されているストリームをリアルタイムで視聴することができます。
17LIVE
17LIVEは、台湾のM17 Entertainment Limitedという会社が運営しています。17LIVEはライブ配信プラットフォームの1つであり、ユーザーが自身のスマートフォンやタブレットを使用してリアルタイムのライブ配信を行うことができます。ユーザーは自身のライブ映像や音声を撮影し、17LIVEのサーバーにストリーミング配信します。視聴者は17LIVEのアプリを通じて配信をリアルタイムで視聴し、配信者とのコミュニケーションやギフトの送付などのインタラクションが可能です。
17LIVEを利用するには、まずアプリをパソコンやスマホにダウンロードしてアカウントを作成する必要があります。ライブ配信を開始する前に、プロフィール設定や配信タイトル、タグなどの設定を行います。配信中は、自身のスマートフォンやタブレットのカメラとマイクを使用して映像と音声を配信します。視聴者はアプリを通じて配信を視聴し、チャットやコメント機能を使って配信者とコミュニケーションを取ることができます。チャットは自社のYouTube番組への登録者を増やす施策にも使えます。視聴者はギフトを購入して送ることもでき、これは配信者に収益をもたらす仕組みとなっています。17LIVEは主にエンターテイメントやコミュニケーションを目的としたライブ配信プラットフォームであり、アーティストやパフォーマー、クリエイターがファンと直接交流する場として利用されています。利用者は自身のパフォーマンスや日常の生活を配信し、視聴者とのリアルタイムなコミュニケーションを楽しむことができます。
Twitch
Twitch(ツイッチ)はAmazon傘下の企業であるTwitch Interactive, Inc.が運営しています。Twitchはリアルタイムのストリーミング・プラットフォームで、ユーザーは自身のコンピュータやゲーム機などからライブ映像や音声を配信できます。ゲーム配信でよく使われています。配信者が映像と音声をTwitchのサーバーにアップロードすると、視聴者はTwitchのウェブサイトやアプリを通じてリアルタイムで配信を視聴することができます。Twitchのウェブサイトにアクセスし、アカウントを作成します。次に配信ソフトウェアをダウンロードし、インストールします。配信ソフトウェアの設定で、カメラやマイクの入力ソースを設定し、配信画面のレイアウトを調整します。続いてTwitchのウェブサイトにログインし、ダッシュボードにアクセスします。ダッシュボードで配信キーを取得します。配信ソフトウェアの設定画面に戻り、取得した配信キーを入力します。配信ソフトウェアで配信を準備し、Twitchのウェブサイトに戻り、配信タイトルやカテゴリー、タグなどの設定を行います。配信ソフトウェアで配信を開始し、Twitchのウェブサイト上で配信を確認します。視聴者はTwitchのウェブサイトやアプリから配信を視聴し、チャットやコメント機能を通じて配信者とコミュニケーションを取ることができます。
ライブ配信を行うときに必要になる「2つの環境」
ライブ配信のクオリティを高めるには環境整備も欠かせません。インターネット(オンライン)環境と周辺環境にわけて解説します。環境整備には手間がかかるので、ここで紹介する内容をスタッフ内で共有し確実に取り組んでいくことをおすすめします。
インターネット環境は大丈夫か?~おすすめの通信速度
YouTubeでライブ配信を行うには適切なインターネット(オンライン)環境が必要です。ライブ配信では映像と音声をリアルタイムでアップロードする必要があるのでアップロード速度が重要になってきます。求める映像の品質によって異なりますが、一般的には 30 Mbps以上が望ましいとされています。高品質な映像や高ビットレートの音声を配信する場合は、より高いアップロード速度が必要になる場合があります。ライブ配信を視聴する視聴者側も、十分なダウンロード速度を確保していく必要があります。視聴者がスムーズに配信を視聴するためには、一般的にはライブ配信のビットレートに応じたダウンロード速度が求められます。YouTubeの推奨する最低限のダウンロード速度は20~50 Mbps以上となっています。
通信速度チェッカー
https://fast.com/ja/
もしライブ配信が突如中断したら視聴者は大きなストレスを感じ、不満に思うはずです。企業によるPR効果は逆効果になってしまうでしょう。そこで、ライブ配信には安定したインターネット接続が必要です。インターネット環境は地域やプロバイダによって異なるため、実際の通信速度を確認するためには、プロバイダの提供する速度テストを利用するか、公式のインターネット速度テストサイトを使用することをおすすめします。インターネット環境の整備は、1人のスタッフがまとめて一気に行ったほうがよいでしょう。
周辺環境は大丈夫か?~雑音がない、明るい、電源がある
ライブ配信の撮影を行う場所の周辺環境について解説します。ライブ配信では、視聴者がクリアな音声を聴けることが重要です。したがって、静かな場所での撮影を心がけましょう。騒音のある場所やバックグラウンド・ノイズの多い場所では、マイクが雑音を拾ってしまい、視聴者が聴き取りにくくなる可能性があります。映像の品質を向上させるためには、適切な照明が必要です。明るすぎたり暗すぎたりすると、人物の顔や紹介する商品がはっきりと映らなかったり、色彩が失われたりする可能性があります。自然光だけでなく照明器具も使って明るく均一な照明を確保しましょう。視聴者によい印象を与えるには、背景にも気を使いたいところ。整理されたクリーンな背景が望ましいです。背景に装飾品を置く場合は、出演者や配信テーマに関連したものを選びましょう。視聴者は案外、背景の細部も見ています。また、背景に個人情報や機密情報などが映り込まないようにしましょう。カメラの位置とアングルは視聴者に映像を提供する上で重要です。出演者の顔がはっきりと映るように、カメラを目の高さに配置します。ライブ配信は長時間にわたることがあるので、バッテリーの充電や記録メディアの準備を忘れないようにしてください。これらことに配慮することで撮影場所の周辺環境を最適化し、視聴者にクリアで魅力的な映像と音声を提供することができます。周辺環境を整える仕事は多岐にわたるので、1人のスタッフがまとめて一気に行うよりは、気がついた人がその都度改善していくようにしたほうがよいでしょう。
ライブ配信の事前準備
ライブ配信では、出演者たちのアドリブやちょっとしたハプニングがよいアクセントになりますが、実は良質なライブ配信は計算されています。「台本がないように視聴者に思わせる台本」があるくらいです。ライブ配信のクオリティは事前準備にかかっているといっても過言ではありません。ライブ配信を実行する前に準備しておいたほうがよいことを紹介します。事前準備はやることを一覧表にして1つずつ確実に取り組むようにしてください。「1つのことが終わったら次に取りかかる」といったように進めていくとよいでしょう。
コンテンツの目的を決めるとは
ライブ配信(コンテンツ)の目的を定め、それを実現するためのアイデアを出していきましょう。どのようなテーマやトピックを扱いたいのか、ライブ配信のコンセプトも重要です。目的やコンセプトはスタッフ全員が共有しておく必要があります。目的やコンセプトには企業のメッセージも盛り込みましょう。Webサイトとの連動も検討してもよいでしょう。また、企業がYouTube番組を開設していたら、ライブ配信はその再生回数を増やすことにも貢献するはずです。
台本をつくるとは
ライブ配信内容によっては、台本やスクリプトを用意することが役立つ場合があります。形式にこだわりすぎることはよくないのですが、特にトークショーや情報番組のような構成がある場合には、あらかじめ話題や流れを整理しておくほうがよいでしょう。台本は他社の過去の成功事例を見本にするとつくりやすいと思います。ただライブの魅力を減らさないために、台本はあくまでガイドとして使い、柔軟に対応できるようにすることも大切です。そこは出演者やディレクターの手腕が問われます。台本をしっかりつくることで、内容の変更を柔軟に行えるようになります。なお企業のメッセージや制作者の意図は、台本に明確に記載しておいてください。台本づくりが難しければ、最初はスケジュールだけでもよいでしょう。スケジュールを充実させていくと、いつか台本の体裁に使づいていきます。
資料とリソースとは
ライブ配信中に出演者が参考にする資料やリソースは、入念に準備しましょう。リソースには画像、ビデオクリップ、プレゼンテーション、音楽などが含まれます。資料は整理しておき、スムーズに切り替えられるようにします。
キャスティングとゲストとは
出演者選び(キャスティング)も重要な事前準備です。ライブ配信を視聴者に飽きさせないように回せるMCが必要ですし、伝えたい情報を「惜しみなく」「漏れなく」「魅力的に」伝えられるスキルを持った人を出演させましょう。また、ライブ配信中にゲストが登場するとよいインパクトを与えることができます。ゲストとはしっかり事前打ち合わせをしておきましょう。ゲストは毎回変更することが理想です。ただし、高視聴率を獲得できるゲストが現れたら、変更せずレギュラーになってもらうのもよいでしょう。
技術的な準備は抜かりなく~テストは何回やってもよい
使用する機材やソフトウェアのセットアップや設定は事前に確実に終わらせておいてください。またカメラ、マイク、照明、配信ソフトウェアなどの動作確認は何回テストをしてもよいでしょう。そして念のためテスト配信を行っておいてください。テスト配信をすることで映像や音声の品質を確認でき、課題を洗い出すことができます。またテストの回数が増えると工夫できる余地がみつかります。また24時間のなかでテストを行う時間を変えてみれば、視聴率が高い時間帯をみつけることができます。テストは内容を凝る必要はなく、スタッフが思いついたことを今すぐ試すことが大切です。
もしもの備え、トラブル時の対応方法
どれだけ準備をしていてもライブ配信では大なり小なりトラブルが起きます。これはやむを得ない部分があり、ライブ配信のプロ中のプロである在京テレビ局の生放送でも放送事故が起きるくらいです。そのためトラブルへの備えが重要になってきます。
インターネット接続の備え
インターネット接続が不安定だと、映像や音声の品質が低下したり、配信が途切れたりすることがあります。ルーターやモデムの再起動、別のネットワークへの切り替え、プロバイダへの連絡など、問題の解決に向けた対処策を試みることが重要です。ここだけはほんとに誰の責任ではないですが、配信の時に限って。。。こともありえます。
機材の故障、音声や映像の問題
ライブ配信中にカメラ、マイク、パソコン(PC)などの機材・機器が故障する可能性があります。また音声が途切れたり、映像が乱れたりすることもあります。予備の機器を用意するか、事前に機器の動作テストを行うことで、トラブル発生時の対応がスムーズになります。
配信プラットフォームの問題
YouTubeのサーバーに障害が発生したり、配信プラットフォームの機能が制限されたりすることがあります。プラットフォームの公式サポートやフォーラムを確認し、問題の状況を把握することが重要です。ライブ配信だからこそのトラブルやプラットフォームが反応しないなど実際に多くの経験をふんできましたが、こういったことは結構起こります。余裕のある準備と経験値はとても重要になります。
コメントやチャットの問題
視聴者からのコメントやチャットが扱いにくい場合や、不適切なコメントが投稿される場合があります。配信ツールの設定やモデレーション機能を活用し、コメントやチャットの管理を行うことが重要です。これらのトラブルは予期せず発生することがありますが、適切な準備と対応策を用意することで、トラブルのリスクを最小限に抑えることができます。また、配信中に視聴者とのコミュニケーションや柔軟な対応を心がけることも重要です。また、もし悪意ある者たちにしつこく妨害されたら、中断を余儀なくされるかもしれません。その場合、ライブ配信の最高責任者が即決する必要があります。どのようなときに中断するのか決めておきましょう。
ライブ配信をプロに任せるか自社でやるか?
企業がPR用にライブ配信を運用する場合、自社で行うのがよいのか、当社のようなプロに任せるのがよいのか、どちらが適切なのでしょうか。両方のメリットとデメリットを、ポイントを示しながら紹介します。
クオリティをどこまで追求するか
いわゆる大企業と呼ばれる会社がPR用のライブ配信を行うとき、多くの場合はプロに依頼するか、プロの力を借りています。それはライブ配信は訴求力が強いので、失敗すると損失が大きくなるからです。例えば無理して自社でライブ配信を行って、クオリティが低いものになってしまったら、企業のブランドに傷がついてしまいます。そのため社内にライブ配信初心者しかおらず、なおかつ高いクオリティを必要とする場合はプロに依頼したほうが無難です。一方で、初心者とはいえないレベルのスタッフが何人かいて、なおかつ高いクオリティを必要としない場合は、社内スタッフだけで行ってもよいでしょう。
準備の時間とコストと手間を考慮する
いわゆる素人が素人としてYouTubeライブ配信を行うのであれば、準備は1時間程度、コストはほぼ0円、手間はほとんどかかりません。しかし企業などがライブ配信をするときは、仮に「低品質でもかまわない」と判断したとしても、最低限のクオリティは確保する必要があるので、それには相応の時間とコストと手間がかかります。「自社で取り組むときの時間とコストと手間」と「プロに依頼するときに支払う料金」を比較することも大切です。
費用対効果を考える
費用対効果も考慮してください。企業などによるライブ配信には、PRや製品説明、ブランディング、マーケティング・イベント、消費者とつながること、といった目的があるはずです。ライブ配信を行う企業は、自社で取り組むときは「時間とコストと手間」を、プロに依頼するときは「料金」を支払うことになるので、それに見合った効果が得られるかどうかも確認してください。
社内でスキルを持つ人を確保することが難しい
ライブ配信には撮影のノウハウと配信関連の知識が必要になります。そのノウハウ・知識を有している人材が社内にいなければ、育成することになります。プロにライブ配信を依頼すれば、社内のライブ配信人材にノウハウや知識を提供することもできます。またプロがそばにいれば疑問に思ったことをその都度相談することができます。「まずはプロに頼んでみる」という考え方は合理的かつ効率的です。プロと一緒にライブ配信を続け、成功事例がある程度積み重なってから自社だけでやってみるようにしてもよいでしょう。
スマホで簡単にやる方法もある
ここまでプロ仕様のライブ配信のやり方や使い方を解説してきましたが、スマホで簡単に実施することもできます。その方法や概要をポイントごとに紹介します。
- スマホにYouTubeアプリをダウンロードする
スマホのアプリストアからYouTubeアプリをダウンロードしてインストールします。
- YouTubeチャンネルをつくる
YouTubeアプリを開き、アカウントにログインします。プロフィール・アイコンをタップし、メニューから「設定」に進みます。その後、「チャンネルの作成」を選択し、チャンネルの詳細を設定します。
- ライブ配信の準備
YouTubeアプリを開き、右下の「カメラ」アイコンをタップします。すると、ライブ配信のオプションが表示されます。配信タイトルや説明を入力し、配信のプライバシー設定やカテゴリーを選択します。また、サムネイルやタグなどの設定も行うことができます。
- カメラとマイクの設定
配信画面で、カメラのアイコンをタップしてカメラを起動します。フロントカメラまたはリアカメラを選択できます。マイクのアイコンをタップして、外部マイクを使用する場合は接続します。スマートフォンの内蔵マイクを使用する場合はそのまま進めます。
- ライブ配信の開始
「ライブ配信を開始」ボタンをタップして、配信を開始します。配信が開始されると、ライブ配信が視聴できるURLが生成されます。配信中にはコメントやチャットが表示され、視聴者とのコミュニケーションが可能です。
これらの手順を実行することで、スマホによる簡易版YouTubeライブ配信を行えます。企業のPR用としてはおすすめできませんが、社内のライブ配信担当者がまだ、自身でライブ配信を行ったことがない場合は、スマホ・ライブ配信は絶好の練習の場になるでしょう。